TPPの「第18章 知的財産」の内容はアプリ開発に影響ありますか?

公開日: : アプリ開発, ニュースキュレーション       

  

会社員A@クリーニングスです。

今までぜんぜん興味なかったのですが、昨日10月6日にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)が大筋合意に至ったそうですね。

基本的には、関税がなくなって外国の安い食品がいっぱい入ってくるとかそういう話みたいなんですが、どうやら創作物の著作権にもいくつか影響があるようです。ネットでは漫画家の赤松健さんとかを中心に何かと問題提起がされていたようですが、やっぱり興味がなかったので特に気にしてませんでした。

具体的にはこれから国会でいろいろ話し合ってどうなるか決まるそうなので、実際に影響があるかどうかは少し先の話になりますが、念のためアプリ開発の活動にも関係あるかどうか、かなり大ざっぱに調べてみました。

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TPPの内容を読み解いてみる

今回の調査の大元の内容となる資料はここから引っ張ってきました。

・TPP協定の概要(日本政府作成)【PDF:3105KB】  

ここから、著作権に関係する「第18章 知的財産」の原文をそのまま引用しつつ、いったい何が書かれているのか、小難しい内容をざっくりと読み解いていきます。

基本的なルールが改めて厳しくなるようです

ではまず最初のところから。

TPP協定で対象となる知的財産は、商標、地理的表示、特許、意匠、著作権、開示されていない情報等である。知的財産章は、これらの知的財産につき、WTO協定の一部である「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS協定)を上回る水準の保護と,知的財産権の行使(民事上及び刑事上の権利行使手続並びに国境措置等)について規定し、もって、知的財産権の保護と利用の推進を図る内容となっている。

とりあえずここでは知的財産とは何かを定義していますね。で、なんか昔にもTRIPS協定ってのがあったらしく、「今後はそれ以上に厳しく権利を保護しまっせ」とかそんな話です。

ちなみにTRIPS協定についてググってみたところ、特許とか著作権に関して、広く一般的に知られている基本的な考え方といった感じでした。もしかするとあれが全ての始まりなんですかね。であれば特に問題もないので次。

〇 医薬品の知的財産保護を強化する制度の導入
① 特許期間延長制度(販売承認の手続の結果による効果的な特許期間の不合理な短縮について特許権者に補償するために特許期間の調整を認める制度)
② 新薬のデータ保護期間に係るルールの構築。
③ 特許リンケージ制度(後発医薬品承認時に有効特許を考慮する仕組み)

このへんは薬関係の話なんで特にアプリ開発には関係ないですね。スルーして次いきましょう。

「法廷損害賠償制度」で訴訟社会になる?

〇 商標
・ 商標権の取得の円滑化:国際的な商標の一括出願を規定した標章の国際登録を定めるマドリッド協定議定書(マレーシア、カナダ、ペルー等が未締結)又は商標出願手続の国際的な制度調和と簡略化を図るためのシンガポール商標法条約(マレーシア、カナダ、ペルー、メキシコ等が未締結)の締結を義務付け。
・ 商標の不正使用について、法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設ける。

このへんは商標だから、アプリの名称とか会社名とか関係してくるかもですね。てかマドリッドやらシンガポールやら、さっきから参照がやたら多い。調べてみたらこれもさっきと同じで商標、つまり商売に使う名前についての権利を定めた基本的なルールでした。「これらの基本ルールを改めてちゃんと守りなさい」ってことですね。

で、最後に書かれてる「法廷損害賠償制度」って何ですかね?ググってみたらここがわかりやすかった。要は著作権を侵害されたときに、被害者側から実害の申告がなくても、裁判所が勝手に損害賠償の金額を決められる制度みたいです。

う~ん、さすがに裁判長のさじ加減ってことはないでしょうが、過去の判例とかから決められるってことですかね。そりゃそんな事でお金が手に入るならアメリカも訴訟大国になりますね。これは結構こわい内容かもしれません。とりあえず我々は「お相撲さん」が商標登録されていないか調べる必要がありそうです。

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コンテンツの管理者はしっかり管理しましょう

この次は特許に関する内容なのですが、特許の期間延長とか例外に関するもので、特に大きな影響はなさそうなのでスルーします。それよりも次が影響ありそうな雰囲気。

〇 オンラインの著作権侵害の防止
インターネット上の著作権侵害コンテンツの対策のため、権利者からの通報を受けて、プロバイダー事業者が対応することで賠償免責を得る制度を導入。プロバイダー事業者に著作権侵害防止のためのインセンティブを与える制度を担保。

この場合の「プロバイダー事業者」とは、2ちゃんみたいな掲示板の管理者とか、SNSのようにコンテンツを投稿させるアプリの開発者、管理者を指しているっぽいですね。つまり、「あんたが管理しているところの著作権侵害は自分でしっかり対策しろ。そのかわりちゃんと対策したら責任は問わないし、むしろご褒美をあげよう」ということらしい。

なので一瞬関係あるかと思ったけど、普通にゲーム系のアプリ作ってる分には何も問題なさそうです。はい次。

権利が怪しいものは持ち込まないこと

〇 知的財産権保護の権利行使
WTO・TRIPS協定やACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)と同等又はそれを上回る規範の導入。
(例)・不正商標商品又は著作権侵害物品の疑義のある、輸入されようとしている物品、輸出されようとしている物品、若しくは領域を通過する物品について、権限のある当局が職権で差止め等の国境措置を行う権限を付与(ただし,通過物品については,荷宛国への侵害疑義物品情報提供をもって代替することが認められる)
・営業秘密の不正取得、商標を侵害しているラベルやパッケージの使用、映画盗撮に対する刑事罰義務化
・衛星放送やケーブルテレビの視聴を制限している暗号を不正に外す機器の製造・販売等への刑事罰及び民事上の救済措置を導入。

ええい長ったらしい。また出てきたTRIPS。つまり前よりも厳しくなるんですね。例とか書いてるけど漢字が多くて読みづらい。最初のやつをがんばって読み解いてみますと、、、

「著作権的にあやしい物を輸入するのも、国を経由させるのも許さん!」てことですね。ちなみに経由の場合は、最終目的地となる国に対して、あやしい物の情報提供をするというルールになっているようです。あとの2つはまぁ、人として当たり前のところなので特に問題はないと思います。というわけで一番問題になりそうな次いきます。

非親告罪になってもアプリは大丈夫?

〇 著作権
著作権に関しては次のルール等が規定されている。
・ 著作物(映画を含む)、実演又はレコードの保護期間を以下の通りとする。
自然人の生存期間に基づき計算される場合には、著作者の生存期間及び著作者の死から少なくとも70年
② 自然人の生存期間に基づき計算されない場合には、次のいずれかの期間
(i) 当該著作物、実演又はレコードの権利者の許諾を得た最初の公表の年の終わりから少なくとも70年
(ii) 当該著作物、実演又はレコードの創作から一定期間内に権利者の許諾を得た公表が行われない場合には、当該著作物、実演又はレコードの創作の年の終わりから少なくとも70年
・ 故意による商業的規模の著作物の違法な複製等を非親告罪とする。ただし、市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない。
・ 著作権等の侵害について、法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設ける。

これまた長いんですが、まず「自然人」って聞きなれない言葉ですね。めっちゃワイルドな人を想像してしまったんですが、Wikiを見てみたら「近代法のもとで、権利能力が認められる社会的実在としての人間のこと」って、まったく自然ではない感じの説明文。いろいろ突っ込みたくなるけど、とりあえず「人間」という意味でいいと思います。

つまり創作物を作った人間が死んでから70年は権利が保護されるわけですね。これは今まで50年だったそうなので、20年延びるということ。てことは、『青空文庫』みたいに無料で古典文学作品が読めるアプリとか、なんか影響ありそうな感じですね。

他にも写真とか音楽のフリー素材を使ってたら、アウトになるものもあるかもしれません。基本的に我々の作品はオリジナル素材が大半を占めているのでたぶん大丈夫だと思います。

そして一番問題になっていたのが「非親告罪」ってところ。

まず「親告罪」というのは、告訴する権利のある人のみが裁判を起こせるというものですが、その逆ということは「特に関係のない第三者でも著作権侵害を訴えることができる」ということになりますね。

むしろパクリが減るのでいいことかも

なので、例えば『Flappy Bird』でアプリストアを検索すると、パクリみたいな作品が大量にヒットするんですが、ああいうのを撲滅できる可能性があるってことです。同じく明らかにドラゴンボールを題材にしたようなアクションゲームだったり、スラムダンクのクイズアプリとか、ああいう著作権ギリギリな感じのやつでも第三者が訴訟起こせるってことですかね。それはもう個人的にはどんどんやってくれって感じなんですがw

一部ではこのルールによって二次創作系の同人誌の業界が壊滅するとかいう意見もあったみたいなんですが、「市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない」って一文もあるので、まともな感覚を持った裁判官なら恐らく問題ないでしょう。

仮にエロ系同人誌があったとしても、それによって原作が被害を受けることはまず無いでしょうし、むしろ「原作の絵と同人誌の絵を並べて見ることで余計に興奮する」みたいな性癖の自然人もいるでしょうから、どちらかと言えば原作の収益性は上がるのではないかとw

てか基本的に二次創作系の同人誌って原作を代替するものではなくて、原作では実現しない妄想を補完するものだと思うので、原作の収益性への影響というのが訴訟の条件であれば、特に問題ないんじゃないでしょうか?

そうなると、まんまパクリでオリジナルのふりをしている作品は問題外として、世の中で先にヒットしている作品に便乗するようなパターンがアウトになる可能性はあるかもしれませんね。

他にもいろいろパターンはあると思いますが、基本的に「人のフンドシで相撲を取る」ような創作物や表現方法は、これから駆逐されていくのかもしれません。まぁそのへんは常日頃から「全員死ねばいいのに」って思ってるのでどうでもいいです。ちなみに我々クリーニングスは「フンドシで相撲を取る」ようなアプリばかり作ってます。

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なので、いくら著作権侵害が非親告罪になっても「原作の収益性への影響」という一文がある限り、まともな社会人としての常識があって、悪意のある曲解をしない裁判官であれば、二次創作を含む創作活動で理不尽に有罪になるようなケースはほぼ無いんじゃないでしょうか?ちょっと楽観的すぎますかね。

それでも悪意のある判決が出るようなら、それはもう人間という存在自体が悪なので諦めるしかないと思います。『テイルズオブファンタジア』のオープニングでもそう言ってるので間違いありません。

で、最後の一文。

産地は正しく表示しましょう

〇 地理的表示(GI)
地理的表示の保護又は認定のための行政手続を定める場合、
①過度の負担となる手続を課することなく申請等を処理すること、
②申請等の対象である地理的表示を公開し、これに対して異議を申し立てる手続を定めること、
③地理的表示の保護又は認定の取消しについて定めること等が規定されている。

ものすごいわかりにくいのですが、これはたとえば「北海道産」とか「ブルゴーニュ産」みたいな表示に関わる話のようです。いわゆる産地によって商品に付加価値がつくようなケースみたいですね。ここの説明がわかりやすかったです。

これがもし人間にも適用されるのであれば、ミーはおフランス帰りざんすみたいな嘘でも訴えられる可能性があるかもしれません。最近になって復活したとはいえ、おっさんにしかわからないネタで申し訳ないです。

まとめ

さて、だいぶ長くなってしまいましたが、ようやくこれで終わりです。私は別に法律の専門家でもなんでもないのですが、普通の日本語理解力と社会的常識に照らしあわせてTPPを読み解いてみました。解釈が間違ってたらすみません。

たぶんアプリ開発にはほとんど影響はないと思いますし、むしろパクリみたいな作品がどんどん減っていきそうなので、業界全体としては良い流れなのではないでしょうか?

ただし我々クリーニングスの制作しているアプリでは、あえて著作権ギリギリの危ないネタを含んでいたりしますので、チキンな我々としては若干ビビってたりします。そこは大人の目線で笑ってスルーしていただければと願うばかりです。

では、そんなクリーニングスのいかがわしい作品のダウンロードはこちらとさりげなく宣伝しつつ、本日はこのへんで。最後までお読みいただきありがとうございました。

  

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